30歳の年齢差でも恋愛できる年下彼氏の恋愛遍歴
――そんな彼氏の自覚のなさ、妙な自信のなさは、いったいどこから来るのだろう。ときどき真剣に分析したくなる。別に、「何を好き好んでこんな年上と?きっと何か理由があるに違いない」と卑屈になっているわけじゃないけど、やっぱり生物学的に自然に考えて、10歳年上の女性とつきあえる男の子の心理には奇異や算段がなければ素直に理解できないような‥何かがなければおかしいような気がするのだ。
普通の男の子とちょっと違う何かが……。
というのも彼氏の場合、好きになったら相手がたまたま年上だった、というのではない。今までつきあった女性はすべて年上という、筋金いりの「年下彼氏」タイプだ。
初めてつきあった女性が6歳年上・・・当時彼氏が16歳、彼女が22歳。彼氏のほうが彼女を好きになって「頑張って口説き落として」つきあうようになったとのこと。高校一年生の彼氏を短大生の彼女が車で迎えにきて、デートしていたらしい。
同級生の男子と女子が一緒に家まで帰る・・・とかいうのがその当時の「つきあってる」の内容だったような当時の環境で、22歳の彼女は立派な大人の女。同級生の男子たちにとってもれば垂涎もののうらやましいおつきあいだったに違いない。けれど、普通は22歳の年上女性にあこがれてもあえて一歩踏み出して口説こう、つきあおうと考えたりはしない。そんな中で彼氏は迷わず、同級生の女の子たちに目もくれず、22歳の彼女を口説いた。
そのへんからしてやっぱり、ちょっと普通と違う男の子だったんじゃないか、って気がするのだ。
そういえば一度、
「年上が好き、って、限界は何歳?何歳までなら平気?」
って質問したら、返ってきた答えが
「うーん、最低3歳年上じゃないと。それ以下だと年上って気がしないからなー」
だった。
そっちの限界じゃないよー!と、がっくり腰が抜けそうになった。上の限界じゃなくて、下の限界を答えられてしまった。あらためて、
「今まで好きになった人で、一番年上の人って何歳だった?」
と聞くと・・・
「俺が20歳のとき、50代前半くらいの人だったかなー?」。
またもや腰が抜けそうになった、今度は驚きと理解不可能!っていうショックで。
詳細を聞いてみると、社会人になったばかりのころ、上司の奥さんでとても可愛い人がいたそうだ。50代なんだけど、いつも元気で明るくて、ちょっとキャピキャピしたところが残っていて、「可愛い」という形容がぴったりだったそう。好感を持ったとか、お母さんを慕うみたいに好きだったというのではなく、はっきりと「恋愛感情」として好きだったとのこと。
「上司の奥さんだから自分からはさすがに口説けなかったけど、もし誘われたら絶対行ってた!」
と、言い切っていた。20歳と50代。
実に30歳差以上でも恋愛感情をもてるということだ。
その他、彼氏を分析しようと思ってした質問とその答え:
「どうして年上がいいの?」
「うーん、なんか、やりがいがあるから。落としがいがある」
(いまひとつ意味がよくわからない・・・)
「じゃあ60歳の女の人とかから告白されちゃったらどうする?」
「一応、検討してみるよ!だって60歳だって女の人だもん!!・・・・でもなあ、一応オカンより上だとオカンに悪い気がするなー・・・」
(とにかく、女の人全般にとても優しい彼氏くんなのだ。女の人は守るべきもの、という固い信念を持っている。)
「どうして年下じゃだめなの?」
「わかんないけど、なんか、むかついてくる。話が合わない」
(年上彼女とばかりつきあいすぎて、自分の話が年上と合うようになってしまったのでは)
というわけで、数々の質問をしてみてもあまり彼氏の年上女性好き心理の分析にはあまり役立たなかったのだが、普段つきあっていて私の実感として思うことがある。
彼氏はいつも、私を失うのではないかと不安で仕方ない。少しでも私の機嫌を損ねたと思うと、「俺のこと嫌いになった?」と本気で心配して聞いてくる。別に、とかそっけなく答えるとさらに心配になるようで、「そんなことないよ。彼氏くん大好きよ」と私がちゃんと言ってあげるまで安心しない。
これがもし、同い年の彼女だったら。こういう質問を何度もされているうちに、あまりもの彼氏の不安と感情表現とに圧倒されて、やがて受け止めきれなくなってしまうのではないだろうか。
年上彼女というのは、年下の男の子に対してあらゆる意味で余裕がある。たとえば経済力とか精神的に大人、とかいろいろな種類の余裕があるなかで、彼氏が求めるのが「不安を受け止めてくれる余裕」なのではないかと思うのだ。
私と彼氏の関係の中で、彼氏が楽をしている部分がたくさんあるとは思わない。男女が逆転したみたいに、食事を作ってくれたり掃除してくれたり、こまごまと尽くしてくれる上に、男が普通に負担する力仕事とか車での送り迎えもやっぱりちゃんとやってくれる。私が圧倒的に楽をしている関係。
でも、実は彼氏は、精神的な不安定さや寂しさを、私に丸ごと預けてしまう楽さを手にしている。
感情をそのままストレートに表現しても、泣きじゃくっても、小さなことで嫉妬したりすねたりしても、全部、「可愛い」でまとめて受け止めてくれる年上の女性。これは彼氏にとってかなり重要なポイントで、細やかな気遣いも力仕事も全部ひきうけるだけの価値がある、「楽」な部分なのではないか。
題名の「チョコレート・マティーニ」からだいぶ内容が離れてしまったんだけど、要はマティーニのグラスに唇を押し付けている彼氏くんがあまりに可愛くて、ざっと以上のようなことを考えたということ。
それに・・・
見た目が可愛らしくて、味わうと甘くておいしくて、でもつい飲みすぎると酔って頭がクラクラしてしまう・・・そんな「チョコレート・マティーニ」は、まるで私にとっての彼氏の存在みたい。
ちょっとは自制しないと明日は朝早くから仕事だしな。なんて思いながらも、今夜もついつい、たくさんおかわりしてしまうのだ。
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